今回はこのような疑問にお答えします。
本記事では、2020年7月末に市役所を退職した私が「公務員の良いところ・悪いところ」を紹介します。
退職してから時間が経ち、客観的な視点から執筆していますので、参考になる内容かと。
公務員の良いところは?
まずは退職して改めて実感した、公務員の良いところを7つ紹介します。
- 信頼性がある
- 誰でも目指せる
- 定年退職後は再雇用がある
- どんな人でも昇給していく
- 病気休暇の制度が整っている
- 暮らしに困らない給料をずっと貰える
- 利益を生み出さないからこそ、全員にサービスを提供できる
順番に見ていきましょう。
良いところ① 信頼性がある
公務員は社会的な信頼性が高いです。なぜなら公務員は国や自治体に採用され、法令に身分が守られているからですね。
信頼性が高いからこそ、ローンは組みやすいし、カード審査もほぼ100%通ります。
実際に、不動産の取引をする際も「公務員」という肩書一つで、営業マンの態度が良くなる話もありますね。
不動産仲介、公務員だと分かった途端に態度を軟化させるのが面白い。公務員なんて薄給の代表格だぞ
— undo (@undo) February 22, 2020
このように日常生活で恩恵を受けられる機会が多いのが、公務員の特徴の1つでしょう。
良いところ② 誰でも目指せる
2つ目の公務員の良いところが、誰でも目指せるところです。個人的にはこれが最も魅力的。
公務員の仕事や採用の原則は、「公平であること」です。
もちろん年齢制限はある場合が多いですが、どのような経歴の人であろうと、誰でも受験でき、合格を勝ち取る機会が与えられています。
民間企業では、少しでもブランクがあったりすると書類選考で落とされ、再就職はかなり困難ですよね。
しかし公務員の場合は、採用条件に当てはまる人であれば応募でき、試験対策をしっかり行えば「誰でも」公務員になれるのです。
年齢制限のゆるい受験先
また最近では年齢制限を緩和している自治体もあり、幅広い世代にチャンスが与えられています。一例を下記に示しますので、ぜひご覧ください。
門戸が広いところも公務員の魅力ですね。
良いところ③ 定年退職後は再雇用がある
公務員は定年退職後、希望したら正職員として再雇用されます。
つまり、年金受給までの期間、また公務員として食いつなぐことができるのです。
再雇用ではヒラ職員と同様の扱いになる場合も多いですが、ボーナス込みで年収300~500万円前後貰えるため、美味しいですよね↓
良いところ④ どんな人でも昇給していく
公務員は勤続年数に応じて、誰でも昇給していきます。年功序列がベースのためですね。
大きな事業を成功させても昇給しますし、社内ニートのような人でもしっかり昇給します。
民間企業では恐らくあり得ないですよね。
毎年昇給するとモチベーションも上がりますし、人生設計も立てやすくなりますので、給料面でも安心できるのが公務員の良さでもあります。
良いところ⑤ 病気休暇の制度が整っている
公務員は「病気休暇・休職」の制度が整備されています。
例えばうつ病などの病気になった場合
- 3か月は給料が満額支給
- 4か月目以降から1年間は給料が7割支給
- それ以降は傷病手当金が組合から1年半支給
といった形で手厚い支援が用意されており、大きな病を患っても安心して療養に専念できるのです。
もちろん病気にならないのが一番ですが、セーフティーネットがあるだけで安心感が増しますよね。
良いところ⑥ 暮らしに困らない給料をずっと貰える
なんだかんだで公務員は、お金で困ることはありません。
なぜなら公務員は毎年昇給もしていくし、不景気だろうとノーダメージで、給料の大幅カットもないからです。
例えば民間企業であれば、業績や景気の悪化で給料が大幅カットされる場合もありますよね。
実際に私の大学時代の友人はホテルに勤めていますが、コロナの影響で給料が3割カットになったようです。
一方で税金が収入源の公務員は、不景気だろうとノーダメージ。
もちろん公務員の給料は、民間企業の平均水準に合わせられるので、不景気のときは若干給料が下がります。
しかし下がるといっても、大幅に給料がカットされることはありません↓
公務員ボーナス10年ぶり下げ 0.05カ月、コロナ影響―人事院勧告
生活に困らない収入を常に確保できるのも、安心した生活を送る上で大切な要因ですよね。
良いところ⑦ 利益を生み出さないからこそ、全員にサービスを提供できる
公務員の仕事のモットーは「全員に平等」。つまり超貧乏な人であろうと、大金持ちであろうと提供するサービスは一緒なのです。
故に、誰でも行政サービスを利用できるよう、安価・無料で提供されるサービスがたくさんあります。
住民票の発行はもちろんですが、あっせん制度、市民相談なども、誰でも利用できるサービスの一例ですね。
公務員は利益を出さないのではなく、出してはいけない
よく公務員は
と叩かれる機会が多いです。
しかし公務員は「売り上げを出さない・出せない」のではなく、「売り上げを出してはいけない」のです。
先ほども言ったとおり、「全員平等」に行政サービスを提供するためですね。
もしも公務員が利益追求に走ったら、多くの市民は切り捨てられることとなり、平等性の概念が失われます。
このように「公益」を求めるのも社会貢献の1つであり、公務員ならではの魅力とも言えますね。
退職して改めて感じた公務員の悪いところ
次は退職して改めて実感した「公務員の悪いところ」を5つ紹介します。
- 潰しが効かない
- 副業ができない
- 頑張る人は損をする
- 働き方があまりに昭和的
- サービス残業は正直かなりある
もちろん、民間企業に当てはまる部分もあるとは思いますが、順番に見ていきましょう。
悪いところ① 潰しが効かない
公務員は基本的に、潰しが全く効きません。なぜなら頻繁な部署異動で専門性が身につかないからです。
公務員は2,3年スパンの部署異動を永遠と行います。
「仕事を覚えては、また異動…」を永遠と繰り返していたら、当然「専門性」が身につきません。
ですので公務員を目指す場合は
- 一生しがみついてでも働く覚悟
- スキルを身に付けるための意欲
などを持つことが大切ですね。
悪いところ② 副業ができない
公務員は基本的に副業ができません。なぜなら法令で営利追及が制限されているから。
根拠法令が「地方公務員法第38条」です。
「職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。」(地方公務員法第38条 営利企業への従事等の制限)
もちろん例外的に
- 不動産投資
- 小規模農業
- 本の出版
などの副業は認められていますが、流行りの「ブログ」や「YouTube」などで収益を得られないのです。
悪いところ③ 頑張る人は損をする
おかしな話ですが、公務員は仕事を頑張る人ほど、損する仕組みになっています。
なぜなら今のところ公務員は、犯罪さえ起こさなければクビにならないため、上手にサボる職員が多数存在するからです。
もちろん「上司が全員頑張り屋」という場合もあるでしょうが、公務員は異動がつきものなので、サボり魔と同じ部署になる可能性も十分あるでしょう。
頑張り屋な人は忙しくなり、体調を崩してしまうことも多々あるので、真面目な人にとっては、逆につらい環境になるかもしれません。
悪いところ④ 働き方があまりに昭和的
お役所はとにかく働き方が昭和的。
日々の業務では、未だに
- 紙
- 電話
- FAX
- ハンコ
- カーボン紙
が主流だったりします。
近年流行りの「テレワーク」も、公務員では無縁です。
なぜ公務員はテレワークができないか
お役所でテレワークが進まない最大の理由は「導入が面倒」だからです。つまり現状維持をしたいということ。
公務員はずっとアナログな手法で働いてきました。
にもかかわらず急にテレワーク環境を導入するとなれば、膨大なコストと手間がかかります。
先ほども説明したとおり、公務員は2~3年で異動するため、わざわざ時間とコストをかけてまで「大きな仕事をしたくない」と考える職員も多いです。
故に「現状維持」が一番大切な要因になるのですね。
もちろん
- いやいや!個人情報が!
- 急な連絡への対応はどうするの!
など、テレワークをしないための反論もあります。
しかし、民間企業でも「個人情報管理」や「緊急対応」がある中でテレワークを導入をしていますので、あまり説得力はないですよね。
悪いところ⑤ サービス残業は正直かなりある
サービス残業は、もはや当たり前。
公務員は各部署に「予算」が割り当てられており、残業代に割ける金額も決まっているんですよね。
ですので予算オーバーした時点で、それ以降は「サービス残業」となるのです。
また昭和体質な職場環境のため
- 新人は残業代を貰ってはいけない
- 夜の20時以降は全てサービス残業扱い
といった謎の慣習がある職場も多いですね。
最近はコンプライアンスを順守する民間企業も増えている中、公務員はいまだにサービス残業が正当化されている一面があります。
休日も返上して働いたり、夜中まで頑張って働いたりしても対価が支払われないのは、かなり苦しいです。
【その他】公務員の良いところに関するQ&A
本章では、他サイトで「公務員の良いところ」として取り上げられている事柄について、補足説明をします。
- 公務員はワークライフバランスが整っている?
- 公務員は一生安泰?
順番に見ていきましょう。
公務員はワークライフバランスが整っている?
公務員のワークライフバランスに関しては、「部署によっては最高、部署によっては最悪」が最適解です。
なぜなら公務員の職場は、「激務部署」と「ゆるめな部署」が混在しているから。
お役所は環境や建築、財政、税務など様々な部署で構成されています。当然全ての部署が同じ業務量とは限りません。
比較的ゆるい部署に配属されたら、休日出勤も残業も比較的少なく、有給もしっかりフル消化できます。
しかし激務部署に配属された場合、休日も平日も夜中まで仕事となるため、ワークライフバランスもクソもありません。
お役所は縦割り組織のため、「部署の仕事は、部署で回せ」というスタンスなんですよね。故に業務バランスがおかしくても、調整などをしてくれないのです。
よって
- ゆるい部署 → ワークライフバランス◎
- 激務な部署 → ワークライフバランス×
が最も的確な答えですね。
公務員は一生安泰?
正直、公務員の「一生安泰神話」は終わったと私は考えています。なぜなら理由は以下の2つ。
- 実は結構「勧奨退職」が行われている
- 人口減少による待遇悪化
実は結構「勧奨退職」が行われている
まずは以下の写真をご覧ください。
勧奨退職とは、職場から辞めるよう圧力をかけられること。実は公務員でも水面下で進んでいるのです。
「勧奨退職の基準」を見てみると、年齢や勤続年数を重視する自治体も多く「年配の人件費を削減し、組織の若返りを図りたい」という意図が見えてきますね。
平成29年時点で、こんなにも多くの自治体で勧奨退職が行われているということは、今後ますます増えていくのが予想できます。
人口減少による待遇悪化
公務員の収入源は「税金」です。
日本はこれからどんどん人口が減っていき、税収の確保も今よりも難しくなるでしょう。
実際に2020年度の出生数は85万人を割るとされています↓
出生数が減ると将来税金を納める労働者が減りますよね。当然税収が減ると、公務員の待遇の水準を保てなくなりますし、今以上に職員が削減されていくでしょう。
もちろん短中期的には、今の待遇水準を保てると思いますが、20~30年後のことを思うと「生涯安心」の時代は終わったと言えるのではないでしょうか。
【まとめ】公務員の良いところ・悪いところ
ご覧いただきありがとうございました。記事の内容を簡単に振り返りましょう。
- 信頼性がある
- 誰でも目指せる
- 定年退職後は再雇用がある
- どんな人でも昇給していく
- 病気休暇の制度が整っている
- 暮らしに困らない給料をずっと貰える
- 利益を生み出さないからこそ、全員にサービスを提供できる
- 潰しが効かない
- 副業ができない
- 頑張る人は損をする
- 働き方があまりに昭和的
- サービス残業は正直かなりある
本記事は決して「元公務員による公務員dis」ではありません。
私自身、公務員になってうつ病になったり、過労で倒れたりと様々な経験をしましたが、今でも「公益性ある良い仕事だった」と思っています。
市役所を辞めて半年経った今、客観的に事実を述べたまでです。
他の公務員の良いところを紹介しているサイト、特に企業サイトだと、公務員の生々しいことを書いたら自社サービスの成約につながりにくくなるので、ポジティブなことしか書いてないんですよね。
私が運営しているのは、あくまでも「個人ブログ」なので、生々しい内容含め、公務員のリアルを執筆しました。
ぜひ本記事のリアルな話も踏まえ、あなたの進路選択の参考になれば幸いです。
それでは今回はこの辺で。ありがとうございました。
\他にも公務員の仕事に関する記事がありますので、ぜひご覧ください/
ただ公務員といえば「安定」のイメージしかない。
安定も良いことだけど、他に良いところがあれば知りたい。あとできれば公務員の悪いところも。